CAMERA OBSCURA

スナップ写真と日々の雑感

写ルンですの思い出

上の写真はX100Fなので、タイトルの写ルンですとは関係ありません。

最近またレンズ付きフィルムがブームになっているそうです。トイカメラっぽいレトロな写真が撮れるからインスタ映えするとか。

写ルンですといえば富士フィルムのレンズ付きフィルムの商品名です。コニカからは撮れっきりコニカ、コダックからは・・・名前覚えていません。

各社いろいろレンズ付きフィルムを出していたのですが、どのメーカーのレンズ付きフィルムもみんな写ルンですと呼んでいましたね。ゲーム機はみんなファミコンって呼んでたみたいな感じです。あとは使い捨てカメラとも呼ばれていました。

わたし自身は撮るほうではレンズ付きフィルムを使ったことはありませんが、写真の現像のバイトをしていたので、現像する側で嫌というほどレンズ付きフィルムを扱いました。

働いていたのはコニカ系列の現像所でしたが、入ってくるのはほぼ富士フィルムのレンズ付きフィルムでした。それはもう圧倒的シェアでした。コダックとコニカは1割もなかったと思います。たまにアグフアとか入ってきました。

レンズ付きフィルムの操作は簡単で、ダイアル(?)をキリキリ回してシャッターを押すだけ。パンフォーカスなのでピントは合わせる必要はありませんし、露出も固定式ですがラチチュードの広いネガなのでなんとか写ります。その代わり現像するときに補正で地獄を見るのですが、それは写す側にはわからないです。

ISO400なら日中で撮れば曇りからピーカンまで無難に写りますが、暗闇は苦手です。なのでフラッシュは常時発行します。こうして暗いときでもフラッシュの届く範囲なら写らないことはないです。まあちょっと引いた記念撮影なんかは、フラッシュの届いてない画像ばかりなんですけど。それでも無理やり現像しましたが。

あと暗闇に強い高性能としてISO800とかの高感度のレンズ付きフィルムもありました。(当時は800でも高感度)暗闇に強いのはそのとおりなんですが、逆に光の強い日中に弱いので、これでもかと露光した真っ黒のネガ画像ができあがります。

これプリント現像しようとするとむちゃくちゃ時間かかるんです。普通のプリントが数秒で露光できるのに、真っ黒ネガだと数十秒露光しないとプリントできません。しかもプリントできてもほぼ真っ白という。なので高感度レンズ付きフィルムは嫌いでした。

レンズ付きフィルムは途中から135フィルムパトローネからAPSのカートリッジに代わっていきました。当時のコンパクトカメラや一眼レフのAPS機は人気が無く、まったく売れていませんでした。

しかしレンズ付きフィルムではAPSカートリッジは大量に使われていたのです。フィルムメーカーがせっかくAPSの設備を整えたのに、使わないともったいないのでレンズ付きフィルムに流用したのでは?と勘ぐっていました。

しかしこのAPSカートリッジがまた厄介者で、現像の側からすると「APSを考えたやつはアホか?」というくらい使いにくかったです。135フィルムなら現像し終われば1本のネガになり、切ってシートに入れれば直接ネガを見ることができます。

しかしAPSは直接ネガが見れません。なのでインデックスプリントという撮った写真の一覧がプリントされます。ですがインデックスプリントを無くしたら焼き増しプリントの注文ができません。

135フィルムならネガがあれば欲しい写真はなんとなくわかりますが、APSはもう一度インデックスプリントをプリントしてもらうか、カートリッジを開けてネガを引っ張り出して確認するしかない。しかも無理やりネガを引っ張り出そうとすると、フィルムにすり傷が付きます。

またこのカートリッジですが、コンパクトカメラとかで写真を撮った後、現像に出す前にカートリッジを抜く→なぜかカートリッジを開けたくなる人がいる→開けるとと光が入りフィルムが感光→そのパートリッジのネガがパァ。なんてことは割とありました。好奇心で開けたくなるのはわかりますが、カートリッジ開けるな。

そんな感じでわたしには非常に不評だったAPS規格ですが、その名前はデジカメのセンサーサイズとして残っています。一般的にAPS-Cのセンサーサイズは高性能という認識ですが、APSという規格のダメさ加減を知っていると、なんとも言えないほろ苦さを覚えます。

おっと、途中からレンズ付きフィルムの話じゃなくなって、APSの愚痴になってしまいました。それくらいAPSにはいい思い出が無いのじゃよ。

しかしレンズ付きフィルムの本体価格もそれほど安いというわけでもないし、フィルムの現像代、焼き増しのプリント代なんかを考えるとかなりの金額になります。そういうのがホイホイ売れていた時代って、かなりすごかったなぁと今では思います。